1つのレメディを選ぶまで
人は生きていく中で、様々なストレスに曝されます。ストレスがあまりに強いと、ある種の「思い込み」が生じてしまい、その後もその人の反応パターンに影響し続けます。
例えば、ジャングルで虎に出くわして、「殺される」と思って命からがら逃げてきた人がいるとします。その時の反応は自分の命を守るためにも必要な正常な反応ですが、近所の猫を見たときにも同じ反応をするようになってしまったら、それはもはや正常な反応とは言えません。いつも不自然に身構えてしまい、適切な対処ができない状態です。
同じように、過去のトラウマによって、必要のない時にもトラウマを受けた時と同じ反応のスイッチが入る場合があります。硬直した型どおりの反応をしてしまいます。
例えば、誰かに見捨てられたつらい過去がある人は、相手に見捨てられる前から「見捨てられる」と思って行動してしまいます。すると相手もそれに反応してしまうので、結局その人は「見捨てられるパターン」を人生で何度も繰り返すことになってしまいます。
もし「見捨てられる」という思い込みを和らげることができれば、その人は「見捨てられるパターン」から解放されます。自分の「思い」が変われば自分の「行動」が変わり、それによって相手の反応も変わるからです。
思い込みから自由になって、しなやかに自分らしく生きるために、今現在のあなたの「在り方」に一番似たレメディを1つ選びます。
セッションについて
セッションでは、今一番気になっていることを中心に、自由に話していただきます。その過程で、いろんな症状の根底にある「思い込み」や、さらにその奥にあるものを一緒に見つめる作業をします。
その人の根底にある「癒されるべきもの」に焦点を絞って1つのレメディを選択します。その人を深く理解できるほど、そこに働きかけることで深い治癒が得られます。
一見あまり病気と関係ないと思われることもお尋ねしますが、病気だけではなく、本人がどういう人なのかも大切な情報になります。
もちろん答えたくない質問には答える必要はありません。ただ、お話ししていただいた内容からレメディを決めるので、重要な情報が欠けていると、間違ったレメディを選んでしまう可能性が高くなります。気になることは無理のない範囲で全てお話しいただければ助かります。もちろんお話しして頂いた内容については守秘義務を遵守します。
他の人にはないようなユニークなところや特徴的なことは極めて重要です。こんなこと言ったら笑われると思うことの方が、むしろ貴重な情報になることもよくあります。
分 析 について
「マテリア・メディカ」
という本には、一つ一つのレメディについて、精神症状、全身症状、局所症状、悪化因子、好転因子、よく症状が出る臓器などについて詳しい情報が記載されています。
でもこれだけでは現在5,000種類を超えると言われるレメディの中で、その人に似たレメディを見つけるのは大変です。
そのためにとても助けになるのが、
「レパートリー」
という本です。ある特定の症状を示すレメディの一覧が記されています。
精神症状に詳しいものや、特徴的な局所症状に詳しいものなど、様々なレパートリーがあります。
例えば、ものすごく几帳面な人だとすると、Fastidious という項目が参考になります(これだけではありませんが)。単純にはその中に含まれるレメディが候補になります。
臨床で何度も繰り返し証明されるなど、特に重要なレメディは太文字やイタリックなどで強調されています。
さらに、のどが渇いて、少しずつ何回にも分けて飲む場合、それに対応する項目もあります。
症状が特徴的であるほど、レメディの候補が絞られます。その一方で正しいレメディを見落としてしまう危険は大きくなります。
その人に特徴的な症状をより多くカバーするレメディがその人に合うレメディの候補として考えられます。今はパソコンのソフトで簡単に調べることができます。
例えばこの2つの症状を満たすレメディを調べたものが下の表になります。
今回の例ではいくつかのレメディがこの2つの症状をカバーしていますが、可能性が考えられるレメディについて、1つ1つマテリア・メディカで確認して、その人の全体像に最も近いものを選びます。
実際には、精神面、全身症状、局所症状など、あらゆる角度から検討して、どの角度から見てもその人の症状に合致するレメディを探します。
レメディが決まったら、その人の生命力(自己治癒力)の強さによって、レメディの強さと服用頻度を決定します。